近年、「噛むこと(咀嚼)」が健康に与える影響が改めて注目されています。柔らかい食品の普及や片側で噛む(咀嚼)習慣により、噛む機能低下が進んでいます。この影響で、めまいや不調が増えるだけでなく、子どもの顎の発達(小顔化や顎関節症、歯並び)や高齢者の認知機能にも悪影響を及ぼしています。その中でも、「めまい」との関係は特に重要です。
噛むこと(咀嚼)とめまいの関係について
顎(あご)関節や首(頚椎)は、私たちが食べ物を噛むときに重要な役割を果たしています。この部分はお互いにバランスを取りながら動いていますが、このバランスが崩れると、めまいなどの症状が出ることがあります。
片側ばかりで噛むことの影響
多くの方は無意識に左右どちらか一方の歯でかむ「片側咀嚼」をしています。たとえば、右側ばかりでかむ場合、右の顎が小さく見えたり、左右のバランスが崩れることがあります。そのため、「反対側でかむようにしましょう」とアドバイスされることがあるかもしれません。
ただし、ここで注意してもらいたいのが、咀嚼(かむこと)は顎や首の関節の動きと深く関係しているため、急に噛む側を変えると負担がかかり、めまいや体の不調が起こることがあります。
なぜ、めまいが起こるのか?
顎関節や首の関節は、頭や脳幹(自律神経が集まる部分)とも深くつながっています。
脳幹にも平衡感覚(バランス)を調整する働きがあります。脳幹から出ている三叉神経(眼神経、上顎神経、下顎神経)は、咀嚼筋(食べ物を噛むときに働く筋肉)や顎関節を動かします。
首の歪みなど頚部の機能に問題がある場合、普段とは反対側で噛むと、顎や首に急激な負担がかかり、三叉神経を通じて、その影響が脳幹に伝わることで結果、『めまい』や『ふらつき』を感じることがあります
噛むこと(咀嚼)以外でめまいが起こる原因
代表例として耳石が動くことでめまいを発生させることが挙げられます。
※耳石(じせき)とは、内耳に存在する小さなカルシウム炭酸塩の粒で、体のバランスを保つために重要な役割があります。耳石は「卵形嚢(らんけいのう)」や「球形嚢(きゅうけいのう)」と呼ばれる部分に存在し、そこにあるゼリー状の膜(耳石膜)に埋め込まれています。
耳石が原因として頻繁に取り上げられる理由は、発症頻度の高さ(めまい症例の20~30%)にあります。
一方で、咀嚼(噛むこと)で起こるめまいは、顎関節症や頚椎などの骨格の歪みが原因であり、見落とされやすい傾向にあります。
『骨格の歪み』と『めまい』の関係について
噛むこと(咀嚼)は、顎関節と頚椎、さらに骨盤(ウエイト・ベアリング機能=荷重を支える機能)との密接な関係性を持っています。特に噛む時(咀嚼)には、顎関節と頚椎のバランスが崩れると、噛み合わせの不良により『めまい』だけでなく顎関節症の原因や自律神経のバランスも崩れ全身に影響を及ぼす可能性(最近では咬合関連症候群ともいいます)があるため、これらの支点の調和が重要とされています
噛むこと(咀嚼)を見直す際の注意点
咀嚼側を急に変えないことが大切です。(特に歯科治療中の方)
咀嚼側は慣れるまでに時間をかけて、少しずつバランスを取るようにしましょう。
柔らかい食品などで、噛む練習を少しずつ行います。
※当院では顎や頚椎、骨格の歪みからくる『めまい』などの症状の方には、さらに詳しく説明したコンディショニングカルテを患者さんにお渡ししております。
整体で症状を改善できる理由
「整体で本当に改善できるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、首の骨の歪みが歯の噛み合わせに深く関係していることをご理解いただければ、整体が頭痛やその他の不調を改善できる理由がご納得いただけるのではないでしょうか。
「噛むとめまいがする」「片側でしか噛めない」「顎に違和感がある」といった症状をお持ちの方へ
当院では、患者様一人ひとりのお話を丁寧にヒアリングし、歪みや不調の原因をしっかりチェックした上で施術を行っています。その結果、多くの方が症状を改善され、笑顔で日常生活を送れるようになっております。
『噛むこと』を見直すことは、健康的な生活への第一歩です。食事や咀嚼を通じて、身体と心のバランスを整えましょう。
※全身バランス整体コース
※顎関節調整